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人体デッサンを始める前に

人体デッサンにおいて、その対象の形状(フォーム)、均衡(バランス)、比率(プロポーション)をしっかりとイメージすることができるか?すなわち、人物を正確に描くためには、自身のデッサン力の有無が、大変重要になります。日常生活の中で、人物を観察する時には、痩せている、太っている、小柄、大柄などと、ざっくりと体型を表面的に見る程度です。しかし、人物の姿を描写しようとする時に、初めて人体の複雑さが見えてきます。それは、平面表現でも立体表現でも同じです。

人体を表現するためには、第一に、人体の構造を理解し、描く際に身体がどのような形になっているか、それを正確に捉える力を持つことが求められます。
日頃、人物の正確なイメージを把握し、創作のための基礎を蓄積しておく(意識して形を印象づける)ことが大切です。様々な体型や仕草によって表れる身体のラインの違いもよく観察しましょう。
また、骨格や筋肉の形状などは、美術解剖図などを参考にして、知識として得ておくことも一つの方法です。しかし、図解から理解することは、容易ではありませんから、実際にクロッキー会などに参加して、美術モデルの身体の部位をよく観察して、描き残しておくこともよいでしょう。

第二に、イメージした形を表現するための描写力を鍛えることです。すなわち、生きた線(生き生きとした姿を描く)の習得ことは、自身の表現力に欠かせません。短時間でも1日1度は、クロッキー帳やメモ帳でも構いませんので、鉛筆を持って描線を引く習慣をつけることが大切です。

上記の二点を意識して、人体の豊かな描写を目指しましょう。
自分の好きな絵や想像した構図を上手に素早く描くことは、短期間で身に付きませんので、失敗しても諦めず、継続する気持ちを大切にして、デッサン力を磨いてください。

甲秀樹より(『甲秀樹 人体デッサン 男性ポーズ集』より抜粋 一部加筆)